指揮者のひとりごと11

指揮者のひとりごと…振りの基本…その11
土田和彦さん(W64年卒)の文章です。

 前回では〝振りは基本に徹する〟という意味のことを少しお話ししましたが、今回もそのことについてのお話をもう少し続けてみたいと思います。
 ということで、〝振りの基本〟とはどのようなことをいうのか?について、これまで触れてきたことを纏めてみたいと思います。
 先ずは基本として、〝力を入れて振らない〟ということ。殆どの曲は3~5分間を降り続けねばなりません…長い曲になると10分…それ以上…を降り続けるので、力を入れて振ることは疲れるだけになるのですから好ましくありません。しかも演奏会と言うことになれば1ステージ数曲、3~4ステージを振ることになるのですから、一つの曲を振るのに一々力を入れていたのでは疲れてしまって最後のステージになると疲れて腕が痛んで振れなくなってしまいますよね。従って振りの基本として考慮しておかなければならないのは力を入れずに振り続けることが出来る技術を習得することが大切になります。
 また、指揮者は自分の振りの中で歌い手に情感たっぷりに表現するように伝えねばなりませんから一振りの中にすべての情感…情報…を込めて振らねばなりません。そこで言えるのが〝指揮者は半拍で勝負する〟ことになります。先に申しましたように指揮者は歌い手に半拍前に情感を込めて振ることになります。歌い手は指揮者の振りを見て半拍後に…ラグタイムを…感じて歌い始めるのですから、指揮者は歌い手よりこの半拍前の間にすべての情報を盛り込んだ振りに神経を集中しなければならないのです。
 更に、指揮者は自分の振りがどのように団員に伝わるかと言うことを意識して〝分かりやすい振り〟に徹しなければなりません。そのためには毎回振りが変わるようではいけません。ということは〝基本の振り〟の型をしっかり身に着けておかねばならないと言うことです。
 これも前回お話ししたように、両手で振る場合、基本は両手が同じ形で振られること、即ち左右ともシンメトリーの形を辿ると言うことです。あくまでも基本ですが左右がバラバラに動くのではなく、況してや両手が同じ方向に動くように振るのは、見た目にもあまり綺麗な振りではありませんので、やめておかれた方が良いと申し上げておきましょう。
 両手を、右も左も真ん中に鏡を置いたように、左右対称の動きが示されるように振りの基本練習をしっかりしておかねばなりません。
 そして基本中の基本としての振りの姿勢は、団員に相対してしっかり背筋…体幹…を伸ばし、下半身でしっかり上半身を支えて立ち、両手の肘は握りこぶし1~3個分離れた身体の横に固定し、肘から指先までは一本の棒のように真っ直ぐ伸びた状態のまま振るようにしましょう。
 振っている途中…打点で跳ね返すところ…などで決して手首ヤ指先をクネクネ曲げないことが肝要です。あくまでも手首は固定したまま一本の棒の途中にあって…関節の部分が動き回るようではいけません…指先まで真っ直ぐ伸びた状態のまま振ることを心掛けましょう。
 そうです、肘から指先…人差し指の先…までが指揮棒と考え、その指揮棒を振るのです。指揮棒が途中で折れてしまってブラブラしては曲に託した自分の想いを歌い手にしっかり指示することは出来ませんからね。
 ここで振りに関する基本の練習方法についてお話をしておきましょう。力を抜く練習については以前にお話ししたように通勤などで利用するバスや電車…地下鉄・JRなど…の車両に設置されている吊り革を利用する方法で簡単に出来るともうしあげました。今回はその練習で力を抜いて振れるようになったところから次の段階として、肘から指先まで一直線に伸びたまま振ることについて触れてみたいと思います。これも何度も繰り返して練習することで身に付いていきますので、是非試してみてくださいね。
 それでは身体の力を抜いてテーブルに向かい、右肘をテーブル面に置いて…掌は力を入れずに軽く握るようにして…その上で軽く上から振り下ろしましょう。テーブルの面まで振り下ろしたらそこでテーブル面を打った反動で元の位置まで跳ね上げるように戻しましょう。軽く力を抜いて…吊り革での練習の要領で…テーブル面を軽く叩く音がトントンと軽快に続いて出来るように練習を反復します。両手を同時に出来なくても片方ずつ交合に繰り返し練習してくださいね。
 パソコンなどの椅子で両肘置きが付いているようなものがあればそれを利用することで両手の練習を一度に出来ますので試してみてください。慣れてくれば三拍子や四拍子の振りの練習を取り入れて繰り返し練習をしてみてください。
 その際、指先を打つことが出来ませんので腕…真っ直ぐ伸びた棒になっていなければなりません…の途中が肘掛けに当たったら反動で跳ね上がるように心掛けて繰り返してください。
 では今回のお話はこの当たりで。

user.png C69卒 藤山 time.png 2025/02/07(Fri) 00:47 No.687
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