なおゆき氏の定演評〔最終〕 投稿者:
石田事務局長 投稿日:2019/12/15(Sun) 07:22
No.1883
12日(木)から連載のこの企画も今日が最終です。
× × × × ×
【各パートの講評】
〈ソプラノ〉
まずソプラノから。パンフレットを見る限り、2番目に少ないパートであるうえ通年ステージではきゃしー指揮者が抜けますが、全パートの中で最も声が出ていました。
また今年の通年曲はとくに跳躍が多かったですが、そうした部分も安定して出せていましたし、半音の移動も上手でした。
今後は、@長い時間歌い続けられる発声と肺活量A歌い出しの正確性、に留意すればよいと思います。
まず@について。特に3stでは、高音でかすれたり、喉で押したような声が所々ありました。演奏会の日は練習から本番まで長時間にわたって歌うのである程度は仕方ありませんが、特に高音の時に余計な力が入っていないか、それから鼻が響いているかを意識できると良いでしょう。
肺活量については前期書いた通り、瞬間でなく長い時間かけて息を吸う練習が効果的だと思います。
Aについては、高音ならば低く(3stの3曲目など)、低音ならば高く(3stの1曲目冒頭)歌い出すクセがあるように感じます。
こうしたことはなかなか分かりにくいですが、他パートと合わせてみると良いでしょう。
表情豊かに歌えている人が多かったのはGoodでした。
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石田事務局長 2019/12/15(Sun) 07:25
No.1884
〈アルト〉
アルトは、ソプラノとオクターヴ違いの低い音階が多々ありましたし、ともすれば埋もれてしまいがちでしたが、主張すべきところはできていました。
しかしながら、やはり純粋な声量の小ささは拭いきれず、土台として支えるには訓練が必要だと思いました。
と言いますのは、アルト10人のうち6人は4回生であり、来年からは4人+新入生ということになります。高声部ならまだしも、ただでさえ聴こえにくいパートにあってこの状況は危機的です。
まずはボイストレーニングの機会をとること、それに普段の練習から口の開け方も含めて声量にこだわること、これだと考えます。
声量と高音は普段から、それを意識して練習し続けていれば必ず出るようになります。前期に引き続き、響く声にはなってきていますから、すぐに改善できるはずです。
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石田事務局長 2019/12/15(Sun) 07:28
No.1885
〈テナー〉
テナーはもともと声量があるうえ、後期は口の形などに意識を向けていた人が多かったのか、響きも十分にありました。
速いテンポや複雑なリズムも今年は、あまり躓いていなかったようで気になりませんでしたし、多くは練習の段階で改善されていたと思います。
次のアドバイスとしては「テクストに忠実に歌う」ことです。それは大きく分けて次の2つを指します。ひとつは、名詞の語頭や語尾、それから助詞など「ことば」を自然な形で歌うということ、もうひとつはフレーズやことばの意味に応じて、歌い方を変えたり表情を調節したりということです。
つまり「詩に沈潜する」というか、詩の世界観に没入することでより丁寧な歌いこみが望めるはずです。これはベースにもアドバイスできることです。
なおゆき氏の定演評〔最終〕 -
石田事務局長 2019/12/15(Sun) 07:34
No.1887
〈ベース〉
ベースについては、例年よりも土台として主張できており、この1年をかけて頼もしいパートへと成長したと思います。
リズム感については、とくに弱起の曲の入りが遅れがちなところがありますので、引き続き訓練が必要です。それでもPOP曲では、遅れることもなくパートソロでは力強い歌声が聴けました。
また、ヘ音の下の音も埋もれずにしっかり聴こえていたことは快挙であり、ぜひ来年もこのクオリティーと保ってほしいと思います。
今後に向けて意識する点としては、半音とことばです。半音の方は何か固有の傾向があるというよりも、純粋にとりにくいのかなと感じます。
音とリズムは、ひたすら正しい音を聴いては歌うの繰り返しになりますが、ある程度やれば慣れてくるはずです。ことばの方は、ベースの場合同じ音階の続く箇所が他より多いため、気を抜くとすぐに平坦な、お経のような歌い方になってしまいます。
とりわけ3stの5曲目は、歌詞の1フレーズが長いため、トラップにはまる場面が散見されました。対策の一つとして、楽譜の隅っこに詩を丸写ししておくと、漢字が混じって分かりやすくなり、効果的です。
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石田事務局長 2019/12/15(Sun) 07:41
No.1888
【最後に】
例によって、長々と書いてしまいました。分量にして原稿用紙33枚分。ここまで読んでくださった方がどれほどいらっしゃるか分かりませんが、どうもありがとうございました。
最後に今の合唱団について、一つ付け加えておきます。今年は4回生が例年よりも参加することを前提に、2回生が執行回生となって運営するということで発足しました。
ノウハウの蓄積など一切ない状態で、それこそ「何が分からないかが分からない」ような嵐の中での船出です。それでも、先生方やOBさん、4回生の力を借りながら、今般の演奏会を実現したのは、もう大変な壮挙だといえるでしょう。
団員が少なくても、2回生が運営にならざるを得なくても、そうした逆境を乗り越えて定演開催にこぎつけたこと、まずは賛辞を送りたいと思います。
さらに今年10月には、石田さんが発起人となって開催された合一会合唱団発表会は現役の出演も叶ったことで大盛況のうちに終わりました。
「歌うこと」を媒介として、府大合唱団は世代の垣根を越えて、集まりつつあります。定演にいらっしゃることができなくても、遠くから見守ってくださる方もたくさん居られます。
少し前には、誰も思ってもみなかったようなことが、着々と始まってきていることは確かなのだと思います。私はひとりのOBとして、ただ目の前の有為転変に眩暈する思いですが、どんな状況であっても決して悲観的になることなく、むしろ向かい風を逆手にとるようにして、前を向いて物事を楽しみ続ける大切さをあらためて学びました。
これからも府大合唱団が世代に関わりなく、歌によって人と人とを結びつける場であり続けられるように祈っております。ありがとうございました。